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「今回は残念ながら、採用は見送らせて頂くことになりました。今後のご活躍をお祈り申し上げます」

また一通、企業からのメールが届いた。一見して分かる不採用通知だ。こうしたメールは、頼んでもいない「お祈り」はしてくれるが、就活生が一番気になる「不採用の理由」を教えてくれることはない。それどころか逆に「選考結果への問い合わせには一切答えない」と宣言するものも少なくない。

NPO法人ライフリンクが今年、就活生約240人を対象に実施したアンケートでは、就活に対して「納得できない・不満がある」と答えた人が7割もいたという。型どおりの「お祈りメール」や、通知すらない「サイレントお祈り」など、不採用通知から垣間見える企業の不誠実さも、就活生に不満を抱かせる一因となっているようだ。

考えてみれば、応募者側は自分の経歴から個人的な体験、趣味など、プライベートなことも含めて「すべてをさらけ出せ」と要求される。それなのに、企業側は「何も答えません」というのは不公平だ。せめて不採用の理由を聞く権利ぐらいは、就活生にも認められるべきではないのだろうか。企業法務にくわしい高島秀行弁護士に聞いた。

●企業には「採用の自由」がある

「契約締結の自由は、企業を含め、世の中の誰にでも認められています。したがって、企業が誰と労働契約を締結するかも、原則的には自由です。

法律等がない限り、企業には、誰を採用し、誰を不採用とするか、そして、どういう理由で採用したり、採用しなかったりするか、自由にできる権利があるのです」

なるほど、均等法や労働法などによる制限はあるものの、「どの人物を採用するか」については、企業側に幅広い「採用の自由」が認められているようだ。それでは、就活生の側の「不採用理由を聞く権利」はどうなのだろう?

「企業は権利の行使として不採用にしたわけですから、不採用理由について他から何か言えるということはありません。

したがって、企業には、どういう理由で採用しなかったのかという『不採用理由』について開示する義務もありませんし、就活生には不採用の理由を聞く権利もありません」

残念ながら「不採用の理由を聞く権利」は、法的に認められているわけではないようだ。

高島弁護士はそのうえで、「労働契約締結の自由は就活生側にもあります。したがって、就活生は、個人情報を開示しないとか、そもそも応募をしないという権利があります。

ただ、企業の立場が強い現在の就職市場でそんなことを言っていたら、結果的に損になってしまいますよ」と、就活生にアドバイスを送っていた。

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